| 2019年8月10日〜11日 |
世間に合わせて |
(俺) |
|---|
7月末の遅い梅雨明け以来、連日真夏日が続いた静岡県中部地域。
久しぶりの渓流となってしまった今回は、一泊コースでS河内の中流域を釣る。
日程が世間の盆休みと重なってしまうので、人気河川は他の釣り人と被ってしまう危険性が高い。
とはいうものの、S河内は有力な支流を幾つか控えているので、なんとかなるだろう。
それに今回は久々に前夜から乗り込めるパターンなので、体力的にもゆとりが持てる。
そんな訳で釣行日前日から大井川沿いに車を走らせ、日付が変わる頃には無事に車止めに到達した。
しかし悪い予感は当たり、既に一台の軽箱が駐車してあって、中はもぬけの殻だった。
世間の連休の一日前から泊まり掛けで入るとは。
まぁ仕方が無い・・とりあえず俺は俺で予定通りに動こう。
釣行日早朝。まだ真っ暗な中で目覚めると、昨夜とは打って変わって、周囲が湿っぽい。
車外に出てみると、すごい濃霧で木々の葉っぱから頻りに水滴が落ちてくる。
なんだこりゃ・・雨ではないようだが、大丈夫か?
とりあえず車内で軽く朝食を摂りながら様子を見る。
湿気が凄いが、天気予報は悪くはなかったはず。
それにモタモタしてると更なる後続が来るかもしれない。
徐々に周囲の明るさが増してくる中、意を決して支度に掛かる。
そしてAM5:35。泊まり掛け装備を背負って車から出発した。
急角度の山道を進むと、何箇所かで崩落が進んでいる様子が見られた。
ずっと昔から踏み固められてきた踏み跡もそのうち落ちて、また新たなコースが出来るのだろう。
河原に降り立ってみても辺りは濡れていた。
しかしそれとは別に、最近まで雨が降っていたのか、S河内の流れは伏流せずに本流と繋がっている。
年々堆積する土砂によって伏流する事が多くなってきたが、これなら下から遡上してくる魚も居るだろう。
今は先行者の憂鬱は忘れて、とりあえず遡行に専念しよう。
時期的に渇水を想定していたので、予想より早い段階で渡渉する。
歩き始めて少し経つと、周囲の山の高い所には朝日が当たり始めた。
それと同時に早朝からの濃霧も徐々に消えてきて、快晴の雰囲気が現れてきた。
まだ広い下流域の河原はマイナスイオンが溢れ、穏やかなせせらぎの中を黙々と歩き続ける。
今回も疲労が溜まらないうちに休憩を取るようにしていこう。
近頃の猛暑で熱中症に対する備えとして、今回は飲料を多めに持ってきたので、我慢することなく補給する。
それにしてもまだ日光がダイレクトに当たらないせいか、体感気温は涼しいくらいだ。
朝の出発の時点で車の温度計は20℃だったが、多分今も25℃には満たないだろう。
一人で歩く朝の遡行も割と快適に進んでいき、徐々に川幅が狭まりカーブも頻繁になってきた。
少しずつ落差も出始めて淵も見られるようになってきた。
休憩ついでに澄んだ流れに目が奪われる。
S河内の流れは程良くボリュームがあるものの、濁りはない。
魚影は目視出来ないが、本流からの遡上の可能性もあるので油断は出来ない。
それにあまり早く遡行して先行者に追いついた場合を考えると、その後の釣りに障るなぁ。
そんな事を考え始めて出発から2時間程経った頃、とうとう渓相の良さに釣られて竿を出す事にした。
今回は餌釣りとルアー釣りの支度をしてきたが、敢えてルアー釣りをメインにやってみよう。
釣果は格段に落ちるだろうが、近頃はあまり釣果に拘りが無くなってきたので、気楽に出来る。
休憩ついでにリュックサックから出した竿は、暫く前に購入した安いテレスコピック型のルアーロッドである。
今日がデビューとなるが、なんとか渓流魚を掛けられるだろうか。
スピニングリールは渓流専用となった小型のものをセットして、ルアーは緑色のヘビーシンキングミノーを選択した。
まだ序盤の渓相ながら、淵の規模は充分に釣りになる。
竿に仕掛けを組んだら、再び重荷を背負って釣り始めてみた。
初めて使う竿だが、振り出し型なので携帯性に優れているばかりか、操作性も充分だ。
これは俺がルアー釣りに慣れていないからだと思うが、とにかくこれなら楽しめそうだ。
釣り上る形なので、上流側に向けて投入したミノーを流れより速く巻き寄せなければならない。
しかしルアーの出来が良いので、下手なアクションを加えなくても、棒引きで勝手に泳いでくれるので頼もしい。
とりあえず魚影を見たいところだ。
先行者がどの辺りで泊まって、今日どこまで釣っているのか気になるところだが、それ以外で下流域は俺が一番乗りだろう。
今日初の魚影を求めて、サクサク釣り上っていく。
何時の間にか陽が高くなっているが、釣り上っている間に川幅も狭まり、暑さは感じない。
それどころか渓相が良くなる一方なのでポイントも次から次へと沸いてくる。
そして釣り始めて1時間程経った頃、陽の当たるカーブのぶっつけでルアーを追ってくる魚影を発見。
少なくとも8寸以上あったその魚影は明るい体色と俊敏な動きで、アマゴであることは間違いないだろう。
暫く同じポイントで粘ったものの、その後は追ってこなくなってしまった。
しかしその後、日陰になる大淵を攻めていたところで、ようやく本日初HIT。
追ってくる様子に気付かないまま、だいぶ手前の白泡の中で喰ってきたので驚いた。
なかなかの手応えを楽しませてくれるので、竿の挙動も確認しながらやり取りする。
そしてタモを使わずに足元にずり上げてみると、獲物は28Cmのアマゴだった。
よし、久々にルアーでアマゴを釣ったな。
それにしてもなんと型の良い魚だろうか。
すっかり夏色カラーになった魚体は体高があるものの、まだどことなく若さが感じられる魚だ。
しかしじっくり撮影している間にどんどん体色が薄れていくので焦る。
そして散々撮影に付き合せた後、流れの緩いところへリリースして、無事に元の流れに消えていった。
更に進むと、不意に河原の脇のテントが目に入ってきた。
ここに来てようやく先行者に追いついたようだ。
時刻はまだ11時頃だが、なんとも中途半端な位置でテンバを設けているな・・。
と、思ったらテントの影に一人見えた。
向こうも俺の存在に気付いたようだが、どうも態度が怪しい。
仕方が無いので立ち寄って問い詰めてみると、しっかり釣りをしておきながらも、やはり遊漁券を買っていない奴だった。
歳は50過ぎくらいだろうか。
ルールを守らないこんなクズに釣り場を荒らされて、その後を釣る身としては実に気分が悪い。
それにしても問い詰められながら俺の胸元から目を背ける様は、なんともダサかった。
たかだか千円二千円をケチる為に、オドオド釣ったり責められたりして本当に楽しいのだろうか?
俺は更なる奥地にテンバを構える予定なので、今回はクズをスルーして先を行く。
この辺りはもう釣り荒らされただろうから釣りにならないだろう・・。
竿を仕舞って完全に遡行に専念する。
すると暫し進んだところで対岸を下ってくる釣り人を発見。
どうやら先程のクズの連れのようだ。
これはテンバ周辺まで荒らされてるだろうな・・。
気分が晴れないまま好渓相を上っていくが、先行者に追いついた事によって先の展望は見えた。
今日はもう厳しいだろうから、明日に期待かな。
この辺りから後の餌釣りに備えて、少しづつ川虫捕りもやっておく。
そしてちょうど昼頃になって、ようやく目的地となるテンバに到着。
相変わらず素晴らしい渓相に変化はなく今回も住み易そうだが、周囲は朝からの湿気で濡れていた。
とりあえず重荷を降ろして、真っ先に飲料を川に漬け込む。
今回は時間に余裕があるのでテントの設営はもう少し後として、先に周辺を釣ってみよう。
休憩もそこそこに、今度は餌釣りの支度を整える。
恐らく先行者はこの周辺までも来ていただろうから、あまり期待出来ないかもしれないが・・。
先ずはテンバから先の本流を釣り上ってみるか。
水量が豊富な渓相を進んでいくと、こちらも変わりの無い渓相で安心した。
・・が、好ポイントからもアタリが無い。
そのうち根掛かりで仕掛けを失ったのを機に、後退。
テンバに戻って、今度は支流に入ってみる。
この支流には大場所となる滝が控えている。
それでも丁寧に釣り上っていき、滝壺を釣ってみるが、やはりここでもアタリは得られなかった。
しかしその後も釣り上ると、ようやく6寸程のハイブリットがHIT。
更にその後、8寸クラスも釣り上げたが、撮影のみでリリースした。
本当は一匹焼いて食いたいと思っていたが、テンバ周辺には薪となる流木が少なくて焚火が困難な予感だ。
それに未だ日陰は濡れているので、薪集めからの労力を考えると今回は焚火&焼き魚はパスだな。
その後、追加の釣果を得られなかったので程々に戻った。
やはり先行者の影響だろうが、なんとか魚の顔は見られたので良しとしよう。
テンバに戻っても15時位だったが、とりあえずテントを設営したり晩飯の準備を進めておく。
いつもの事だが、この時期は夜になると羽蟻が大量に沸く。
暗くなってから焚火や明りを付けたりするとそれが集ってきて、落ち着いて食事も出来ないのだ。
そんな訳で今回も、日没前に全てを済ませてしまう方針で動こう。
そして夕方になって大方の準備が整ったので、本日最後の釣りとばかりにテンバの下の大淵でルアーで遊ぶ。
すると、昼に一度通過した場所ながら、今日2匹目となるアマゴを釣る事が出来た。
型の良さに見惚れながらも、撮影してリリース。
満足した俺は濡れた装備から着替えて早めの晩飯を摂り、よく冷えた缶ビールで雰囲気を味わう。
そしてまだ星空が見えないマヅメのうちからテントに潜り込んで、早めの就寝とした。
翌朝、目覚ましも掛けずにのんびり起きたらAM6時過ぎだった。よく寝たな。
外を覗いてみると、昨夜のうちにまた一雨降ったようで周辺は濡れているが、既に上空は晴れ渡っている。
気温は涼しくて快適に眠れたので疲れは残っていない。
とりあえずテントから出て、餌釣りの竿を持って近場で釣ってみる。
しかしポイントは多いのに反応は少なくて、外道らしきアタリの他は小型のイワナ1匹を釣るのが精いっぱいだった。
どうやらこの辺りの魚影が薄くなったようだな。
まあ良い。既にイワナとアマゴの顔は見ているので、これ以上焦る事もない。
テンバに戻ってお湯を沸かし、カップ麺で朝食を摂る。
恒例の手抜き食だが、渓流で食うとなんとも美味く感じるな。
食事が済んだら片付けに取り掛かる。
そして濡れた装備に着替えてテンバも撤収して荷物をまとめる。
これで帰還の準備は出来た。
ということで、今日の釣りを本格的に開始する。
昨日と同様に餌釣りで支流を釣り上っていく。
相変わらず濡れた渓相はポイントが乱立していて雰囲気は良い。
しかし昨日の今日ではまだ魚が警戒しているのか、それとも単に居ないのか・・。
暫く釣り上っても反応を得られなかったのでテンバに戻って考える。
餌の川虫も少ないので、このままコンスタントに餌釣りを続けるのも難しいだろう。
今回はせっかくルアーを持ち込んだ事だし、疑似餌に拘ってゆっくり釣り下っていこうか。
そんな訳で10時頃、荷を背負ってテンバを後にした。
快晴ではあるが両岸が狭まっていて陽の光が差し込み辛いので、暑さは感じない。
サクサク歩いては良さ気な淵でルアーをキャストしていく。
時折ルアーを追ってくる魚影が見えたりもしたが、あまり粘らずに移動する。
そして30分程経ったところでようやくHIT。
陽の当たる瀬を通したところに、7寸強のアマゴが食ってきた。
昨日のアマゴとは比較にならない幼魚感だが、それでもルアーで釣れたことが嬉しい。
その後、徐々に川幅が広くなってくると陽に当たるようになり、暑くなってきた。
下流になるに従ってポイントも減ってくるので、益々釣り難くなり・・。
昼近くなったところで竿を仕舞い、歩きに専念する事にした。
炎天下の河原でも、不定期に吹くそよ風が癒しとなる。
そして14時頃、無事に車まで戻る事が出来た。
今回はルアー釣りをメインにしたうえで、先行者と被ってしまったので貧果となってしまった。
ただ、近年多かった夜勤明けの釣行ではなく、本来の行動パターンでの釣行だったのでいろいろと余裕を持って動く事が出来た。
数もサイズもイマイチな内容だったが、アマゴの型については満足出来るものが釣れたと思う。
これだけの労力を要する釣りなので、やはり次は一般人の来ない平日に予定を組んで、もっと釣りを楽しみたい。