2019年5月27日〜28日

梅雨入り前に

(俺)



 まだ5月だというのに、静岡県を始めとする各地で、早くも気温が30℃を記録するようになってきた。

 近々雨の予報もあることだから、梅雨入り前に恒例の泊まり掛け釣行に行っておこう。

 

 夜勤明けのまま、山に向けて移動する事3時間半。

最初からHP4割MP満タンって感じ

 快晴の月曜日は一般車両達が多くて飛ばせないので、いつもより時間が掛かってしまった。

 車止めに到達したのは昼過ぎだったが、休む間もなく装備を整えて車から出発する。

 よく晴れた河原はなかなかの暑さだが、夏と違うのはまだ湿度がそれほど高くないという事だろうか。

 少々汗ばむが、不快に感じる程ではない。

 久々の泊まり掛け装備を背負って、サクサクと歩く。

 今回は解禁日以来となるN川に一泊コースの予定での釣行だ。

 この支流は毎年訪れるお気に入りの川だが、昨年秋の台風で少々荒れたようだ。

 春に来た時は竿を折ってろくに釣れないまま帰還したが、その短い釣行の中でも渓相の変化は著しかった。

 今回はどのようになっているのか・・。

 遡行が進むにつれて徐々に両岸が狭まり、N川の冷たい流れが迎えてくれた。

 今回の装備はウェーディングシューズなので水温がダイレクトに伝わる。渓流を実感する瞬間だ。

序盤の平川

 水量は基本値といったところか。

 特に難しいポイントも無いが、やはり河原の石は新しいものが多くて、荒れている印象だ。

 そのうち現れた特徴的な尺イワナポイントは、2mほどの落差だったはずが膝下くらいの落ち込みと化していた。

 これは相当荒れたな・・。

 見慣れた渓相は所々埋もれたり崩れたりしていて、あれほど多かった好ポイントは激減している。

 とりあえず今日はテンバの確保が最優先なので、釣りは我慢しながらひたすら遡行に専念する。

 狭い上空は相変わらず快晴の様子だが、体感温度は快適で体調に問題は無い。

 いつもの事だが、行きはテンションが高いので多少の疲れは無視出来るが、夜は楽しむ余裕が無い。

 そんな序盤、それまでクリアだった川の水が、急に濁り始めて焦った。

 音は聞こえなかったが、どこかで崩落があったようだ。

 下手をすれば鉄砲水の危険性もあるが、土の匂いや流木は出てこないので、慎重に遡行を進めた。

所々荒れている

 すると200m程進んだところで、小規模な土砂崩れを発見。

 川の濁りもそこから始まっていた。

 崩れ方から見て、それほど大事には至らないだろう。

 足早にその場を通過して、先を急ぐ。

 その後も渓相は荒れたところが多く、休憩ついでに餌捕りをしてもなかなか捕まえられない。

 しかしあまり休憩ばかりしていられないので、餌も満足に集められないまま中流域まで到達。

 時間は14時を過ぎているが、まだ今日のテンバを何処にするか決めていない。

 今日は出来るだけ上流の方に泊まって、明日朝から源流域を攻める方針で考えてきたのだ。

 しかしこうも渓相が変わっていると先の見通しもつかない。

 時間を掛けて進んだ先にテンバに使えるスペースが無かったら、適当なポイントまで戻らなければならない。

 今は時間も体力も惜しいのだ。

なんとか1発目

 結局16時になったところで、中流と上流の境目くらいの場所で荷を下ろした。

 この辺りまで来るとだいぶ渓相も安定してきたが、テンバに使える平地が少ない。

 こんな所で泊まった事も無いが・・まぁなんとかなるだろう。

 流れから少し高い位置に、岩場の隙間を開拓する。

 急いでテントを設営したら、薪集めに釜戸の設置。

 明るいうちに支度を済ませておかないと、夜になってからでは面倒だ。

 そして夜を迎える為の準備が整ったのは17時過ぎだった。

 ようやく釣りが出来る。

 辺りはまだ視界が充分だが、完全に夕マヅメに差し掛かっている。

 今回は餌釣りとルアー釣りの道具を揃えてきたが、問答無用で餌釣りを選択した。

 道中で捕獲しておいたオニチョロを針に刺して、テンバ前の淵から探っていく。

渓流の夜

 ・・良いポイントだが、なかなか反応が無いまま釣り上る。

 そして特徴的な滝壺まで来て、ようやくHIT。

 今日の1発目は25Cmの♀ハイブリットだ。

 なんだか暫くぶりに見た気がするイワナの姿に、暫し見惚れた。

 とりあえず晩飯用にキープ。

 更に同じポイントから同型の♀をもう一匹追加した。

 気がつくとだいぶ薄暗くなっている。

 まだ釣り足りないが、そろそろ晩飯の支度に掛かろう。

 テンバからそれほど離れないまま、今日の釣りは2匹で終了。

 テンバに戻ったら一匹捌いて串に刺し、焚火を熾す。

 無事に一発点火したら、イワナを焼きながら着替えて晩飯を済ませる。

至福の味

 なんとか無事に夜を迎えられて一安心だ。

 それにしても今回はちょっと疲れたな。

 夜勤明けの釣行など慣れたものだが・・衰えたのかもしれない。

 

 一夜明けてAM6時過ぎ。目覚ましも掛けずにのんびり起きてみると、空は曇っていた。

 相変わらず川のせせらぎが支配する空間は、寒くはないが湿気を感じる。

 とりあえず竿を持ち、足元を濡らさずに行ける範囲を釣ってみた。

 しかし30分程ではアタリは得られず、テンバに戻って朝飯に掛かる事に。

 川の水をヤカンに汲んで、バーナーで沸かす。

 泊まり掛け釣行の際の朝飯は、カップ麺が俺達的な定番なのだ。

 ついでに焚火も熾して、燃えるゴミも処分しておく。

朝から雨

 朝食が済んだら着替えてテントも片付ける。

 今日は源流域・・出来れば久々に魚止めの向こう側まで探ってから、ゆっくり下山する方針だ。

 しかしテントを仕舞っている間にパラパラと雨が降り始めた。

 そういえば家を出る前に見た天気予報では、今日の午後から降り始めるという内容だったはず。

 まさか予報が前倒しで来てしまったのか?

 急いで片付けを済ませる間にも雨脚は強くなってきた。

 う〜ん悩む。

 せっかくここまで来ているのに、この先から釣りが楽しみなのに・・。

 暫し考えた結果、上流を釣る予定は取り止めにして、帰還する事にした。

 上流域での雨は、すぐに増水したり崩落する危険性が高まる。

 ただ途中までは竿を出して、好ポイントだけを拾っていこう。

良型GET

 シトシトと降る雨の中でカッパを着て、少し軽くなった装備も背負ったら、竿を片手に下り始めた。

 そして少し下ったところで、良さ気な淵を見つけたので下流側に回り込む。

 竿を伸ばしたら、昨日の残りのオニチョロを針に刺して釣り始める。

 すると流れていた目印が止まり、溯ってHIT。

 アワせるとそこそこの手応えだ。

 上のブッシュに掛けない様に、慎重にやり取りして釣り上げたのは、29.5Cm。

 早速の本日1発目に満足して、キープ。

 今回は帰ってからも味わう為、土産にさせてもらう。

 しかしその後、幾つかポイントを攻めたものの無反応が続いたので、竿を仕舞って歩きに専念した。

 そして車まで戻ったのは昼過ぎだった。

 相変わらずの雨の中、馴染みの民宿で温泉に浸かってから帰路に就いた。

 

 今回もろくに釣る事が出来なかったが、それでもイワナの顔を見られただけ良かったとしよう。

 予想外の雨が災害に発展する事も無く、無事に戻ってくる事が出来たのも幸いだ。

 N川は渓相・魚影共に数年ぶりの不況に陥ったようだ。回復まで暫く様子を見ておこう。

 

濡れた渓相





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