2018年4月20日〜21日

4月の迷走

(俺)



 今シーズンこそは毎月一回は渓流に行っておきたい―――。

 今までに何度となく企んでは露と消えてきた淡い目標に、今年もTRYすべく急遽支度を整えた。

 

 夜勤明けの20日。いつもなら夜中に通る大井川沿いのルートを、一般車両達に阻まれながらのんびり遡行していく。

 そしてS河内の車止めに到達したのは13時前だった。

 平日のせいか他に車は無く、こんな時間ながら一番乗りを果たせたようだ。

 とはいうものの、今回は過去に無いくらい遅い出発になるので、今日は夕マヅメを釣るのが精いっぱいだろう。

 そんな訳で、久しぶりの一泊コースの装備を準備してきたのだ。
  4月の泊まり掛け釣行なんて、何年ぶりだろうか。

雪代+笹濁り

 今回は快晴が予想されるものの、雪解け真っ最中なので足元の装備はウェーダーにしておく。

 支度を整えた13時、車から出発。

 目指すはいつもの某支流出合辺りが望ましいが、時間と体力、そして何よりも水量との兼ね合いで不透明な状況だ。

 早々に河原へ降りてみると珍しく伏流しておらず、大井川本流と繋がっている。

 やはり雪代の影響だろうな。

 こうなってくると目的地まで行けるかどうか、心配だ。

 緩い蛇行の最下流部からサクサク歩いていくと、S河内の流れは冷たく、笹濁り状態である。

 そして少しずつ河原の幅が狭まってくると、流れも集約されてきて渡渉も難しくなってきた。

 この勢いでは目的のテンバどころか、まともな釣りが出来るエリアまでも到達出来ないかもしれないぞ・・。

 そんな心配を抱えながらも定期的に休憩を取り、息と精神を落ち着かせる。

 晴天の河原は少々暑いくらいだが、吹き抜けるそよ風がなんとも気持ち良い。

 時折聞こえてくるウグイスの澄んだ声にも癒される。

日本晴れ+そよ風

 しかし遡行が進んだ14時半頃、とうとう渡渉不可能なポイントにぶつかった。

 数mの川幅だが深さと勢いで俺の能力ではどうにもならない。

 とはいうものの、こんな序盤のエリアで行き詰るというのも納得がいかない。

 仕方が無い、高巻くか・・。

 周囲を見回しても急角度の雑木林で、一見しただけではどこまで登ればその先へ降りられるのか見当がつかない。

 なんとも不安だが、とりあえず左岸側の山肌を強引に駆け登ってみた。

 ・・暑い。キツい。

 なかなかの傾斜を少しずつ登るが、上流側への降り口になりそうなところは見つからないまま、結構な高さまで来てしまった。

 ここまで来ると上流部への踏み跡が見つかるかもしれないが・・。

 そんな事を考えながら、道なき山肌を少しずつ登っていくと、案の定踏み跡らしきものを見つけた。

 やった、これで中流部まで一気にショートカット出来るかもしれない。

 疲れを忘れて上流側へ向かって踏み跡を辿るが、落ち葉や土砂で不明瞭だ。

 滅多に使われていないのか、それともただの獣道なのか・・?

 しかしその踏み跡も徐々に険しくなり、遂には崖になってしまった。

 その先には踏み跡の続きらしいものも見えるが、到底ウェーダーで行くレベルではない。




下が見えない



 こうなってはカモシカでさえ厳しい角度だ。下を覗けば河原が見えない位の高さで、落ちたら確実に逝ける。

 ここまで登ってきて無念だが、仕方がない。引き返す事に。

 そしてなんとか河原へ戻ったのは15:40頃だった。

 既に太陽は傾き、陽の力も弱々しく感じられる。

 これ以上は進めないので仕方が無い、この河原をテンバにするしかない。

 今までこんな下流部で泊まった事はないが、どうにかなるだろう。

初HITはアマゴ

 とりあえずは少しでも高い場所にテントを設営する。

 そして夜を迎える準備を整え、ようやく釣りに動けたのは16:30頃だった。

 急いで川虫を漁り、数匹のオニチョロを餌箱に貯めたところで最寄りのポイントに忍び寄る。

 水量が多いのでポイントを絞り難い中、釣り始めた。

 比較的流れの緩い弛みをメインに丁寧に探っていく。

 そして30分程掛かった頃にようやくHIT。

 流れの脇の浅いところから出てきた本日1発目は8寸サイズのアマゴだった。

 よし、なんとかアマゴの顔は見る事が出来たな。

 しかしこの川で8寸は少々物足りないのでリリース。

 引き続きじっくりと探っていくと30分程経った頃に2匹目がHIT。

 これも淵尻の緩い所で食ってきた。

 少し下流まで引っ張ってから回収した獲物は、8寸の痩せ型ハイブリットだ。

イワナも来た

 無事にイワナの顔も見られたな。

 撮影後にリリースし、同じポイントを攻めたが追加は得られなかった。

 そして同時に遡行不能となり、まだ視界は利くものの、早めの納竿とした。

 とりあえず疲れた。

 竿は伸ばしっ放しでテントの脇に立掛けておき、明日の朝マズメに備えておく。

 持参した焼酎を呷りながら着替えて、寝る準備を進める。

 快適な気温の中、徐々に薄暗くなっていく谷間で雰囲気を味わう。

 夕立は無さそうだが、夜露に備えて外の荷物にはシートを掛けておこう。

 そして19時を回る頃、随分早めの就寝。

 

 翌朝早朝、目が覚めるとひんやりとした空気の中で動き出す。

 軽い夜露は降ったようだが、地面が濡れる程のものではない。

 先ずは出しっ放しにしておいた竿を持ってテンバ前を探ってみたが、釣れなかった。

 軽い朝食を摂り、着替えてテンバを片付ける。

 川の水位は若干減ったようなので、昨日渡れなかったポイントをクリアしてその先を釣る。

 ・・しかし川が二度三度とカーブすると、結局また渡渉出来ないポイントにぶち当ってしまった。

 今日はもう無理な高巻きをする気はない。

 魚の顔を見る前に早々に引き返す事とした。

 そして昼過ぎになって無事、車まで到達。
  思いの外疲労感は感じないが、筋肉痛が明後日辺りから来るんだろうなぁ・・。

 今回は目的のエリアまで行けずに貧果となったが、今季初イワナに会えただけで良しとしよう。

 来月はどんなプランにしようか。・・というか、行けるのか・・。

 

道半ばの幕営





戻る