| 2016年9月27日 |
遡上者 |
(俺) |
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渓流釣りシーズンも終盤を迎え、釣り納めをすべく急遽上流へ向かった。
思えば7月と先週にも釣り未遂があった為に、今年はまだ2回しか渓流釣りが成立していないのだ。
出来れば泊まり掛け釣行で行きたいところだったが、今回は日帰り釣行でI沢へ行く事とした。
日の出前に車止めで支度を整えた俺は、ヘッドランプで周囲を照らしながら歩き始めた。
僅かな月明かりはあるものの、山中の踏み跡を照らすにはあまりに心許ない。
暫しの暗い山歩きを経てI沢の河原に降り立つと、水量は豊富な雰囲気だ。
このI沢は難所らしい難所こそ無いものの、水位によっては渡渉が厳しくなるポイントがあるので少々心配だな。
とりあえずは某ポイントを日の出に合わせて釣れるように、急いで遡行を開始する。
気温は14℃と涼しいが、早朝とはいえ水温はキツくはない。
最初の浅い渡渉で完全に目を覚まし、水量の多い河原を見ながらルートを探して歩く。
気温は涼しかったのに、少し経ったら暑くなって上着を脱ぐほどになった。
遡行を始めて10分程で視界も利くようになり、ヘッドランプはリュックサックに仕舞って先を行く。
それにしても序盤から渡渉ポイントの選定に悩む局面が多くて、なかなか遡行が捗らない。
白泡の中のスタンスを探りながら岩壁をヘツったり、太い流れの中に顔を出す石を伝って対岸へ飛び移ったりと、思いの 外手間取る。
中には渡ったは良いものの帰りはどうやって戻れば良いのか?・・というような渡渉もあって気が抜けない。
そのうち谷間に明確な明りが見えてきた。
どうやら目的のポイントに辿り着く前に日の出が来てしまいそうだ。
・・仕方がない。このマヅメ時を逃すのも惜しいので、最寄りの大淵で釣り始めてしまおう。
刻々と明るさが増すのを感じながら、竿を伸ばして仕掛けを確認する。
木々の隙間から見上げた空は快晴のようだ。
餌は昨日のうちにH沢の下流部で確保しておいた川虫を使えるので抜かりはない。
しかし最初に目を付けたポイントからは反応が無く、時間を浪費する余裕もないのでサクサクと手早く探りながら釣り上る。
水量が多いので魚の付き場所がだいぶ絞られているとは思うのだが、なかなかアタリを得られない。
そしてだいぶ明るくなったAM6:50頃、小さな落ち込み二つから成る大淵にてようやく本日初HIT。
元気の良い引き応えの末に寄せられたのは8寸クラスのアマゴだった。
俺的にキープ可能なサイズではあるが・・今キープを得るのはまだ面倒なので撮影後にリリース。
更に同じ淵で粘っていると、再びアマゴが掛かった。
今度のは9寸あって型も良い。やはりキープ網を出して活けキープにしておこう。
魚信が途絶えた大淵を後にした俺は、そこから再び遡行に専念して先に進む。
どうにも渡渉出来ないところは河原脇の林の中を通って巻くが、数日雨が続いていたせいか周囲の木々の下は湿っている。
河原の石の中にはコケで滑り易いものもあったが、林の中も古い倒木や濡れた落ち葉でだいぶ滑り易くなっていた。
そんな湿った林もよく見ればキノコがたくさん生えていて興味深い。
大半はヤバそうな雰囲気を纏っていたが、中には「お!」・・と思うようなものもあった。
キノコの知識もあれば今まで以上に楽しめるだろうな。
そのうち特徴的な長い淵に到達した。
ここが今回日の出の頃に釣りたいと思っていたポイントだが、些か理想よりも遅くなり過ぎてしまったようだ。
空は完全に明るくなっており、既にマズメどころの話ではない。
とはいうものの釣るしかないので、今更ながら下からじっくりと攻めてみる。
・・が、好ポイントにも拘らずここではアタリを得られなかった。予想通りには事が運ばないものだ。
次に現れたポイントは右岸から出会う支流だった。
やはりここも水量が多くてやり難さはあったが、少しだけ支流を釣り上ると本日初イワナが釣れた。
7寸程のハイブリットだが型は良い。撮影後にリリースした。
ポイントは狭まっているが、彼らは白泡の下からも貪欲に餌を追うほど元気なようだ。
支流を後にした頃から渡渉の苦労は軽減されてきたような気がする。
要所要所で川沿いの踏み跡が増えてきたので、精神的な圧迫感から解放されたようだ。
しかしそれでも渓相は崩れずに好ポイントが連なっている。
程なくして8寸程のキープ可能サイズのイワナも釣れたが、活けキープに適さないエリアだったのでリリース。
更に新たに入ってきた枝沢でも7〜8寸のイワナを3匹釣る事が出来た。
枝沢を軽く釣って11時を回ったので、陽の当たる河原で早めの昼飯としてパムを喰らいながら休憩を入れる。
ここまでの釣果としては未だ一匹しかキープ出来ていない。
本来のこの川での釣果としては物足りない状況だが、ここからが正念場である。
とはいうものの、遡上モノに出会うまで遡行し続けられるだろうか。
程々に休んだら再び竿を手に動き始めた。
にわかに両岸が狭まって滝が連続するようになってきた。
しかし理想通りのポイントがなかなか見つけられずに焦る。
水量が普段通りであれば好ポイントだらけになるはずなのに、惜しい限りだ。
そしてようやく流れが穏やかな大淵に辿り着くと、仕掛けを投入するなり一発でHIT。
淵尻に近いところから喰ってきたのは8寸クラスの♂ハイブリットだ。
キープ網を出して土産にしておく。
更に端の方から丹念に探ると6寸程度の稚魚が連続して掛かり、その近くをよく見ると尺イワナが泳いでいるのが見えた。
よし、アイツを釣ってやろう!
しかし何度となく見えている尺イワナに合わせて仕掛けを投入して流すが、一向に喰いつく素振りを見せない。
以前にもこんな局面があったが、あの時は餌を陸生昆虫に切り替えて一発だったような気がする。
今日は・・いや最近は陸生昆虫を使わなくなったので、餌箱の中にはオニチョロしか入っていない。
そこで餌箱の中で一番大きなオニチョロを選択して針に付け替えた。
相変わらずこちらに気付かないのか、逃げずに定位置で泳ぐ尺イワナに向けて仕掛けを流し続ける。
時折他の魚が現れて餌を追ってきたりもするので、更なる釣果も期待出来る。
そして10分位粘った頃だろうか。
散々粘った甲斐あって、遂に尺イワナが口を使ってHIT!
目の前を流れてくる餌に対して、まるで面倒臭そうに喰った様子が印象的だった。
鈍重な手応えでなかなかスタミナがある獲物だが、場をあまり荒らさない様に最小限の範囲で泳がせたうえで無事にラン ディング。
タモに収まった魚は思ったより大きく、36Cm程の♂イワナだ。
既に体の模様は消え失せていて鼻先も尖り、なかなかの貫録を纏っている。
よしよし、とりあえずキープだ。
今度はさっきからチョロチョロと姿を見せる9寸サイズに的を絞る。
縄張りが広いのか、なかなか姿を見せなかったが少し粘って無事にHIT。
回収してみると錆のように黒ずんだ♀アマゴで型も良い。キープに追加しよう。
更に7寸以下のハイブリットを2匹放って、大淵の奥を探るべく歩を進めると・・。
不意に目の前の落ち込みの脇で茶色い尺イワナが見えて思わず硬直した。
普通に考えれば魚からも余裕で見える位置だが、何故かこちらに気付いていないようだ。
音をたてない様に静かにそっと身を引いて体勢を整える。
全くなんという好ポイントだ。一人静かに興奮しながら仕掛けを振り込んだ。
すると今度は一発で餌に喰らいつき、先程の尺イワナ同様に重い手応えで暴れ回る。
それをやり取りしながら淵尻まで後退して、まだ探っていないエリアを荒らす事無く無事に取り込んだ。
今度の獲物も♂のハイブリットで、微かに白点が見られる魚体は35Cm。
その後は大淵の最奥まで探ったものの、キープサイズの獲物は出なかったので先へ行こうとしたが、カーブの先に見えた のは遡上止めの滝だった。
しかし水量が多くて滝壺に近付けないし、遠目に見てもポイントになりそうな弛みも無いようだ。
時間も13時を回った頃だったが、先の大淵で充分土産を稼げたので終了としよう。
竿を仕舞って出来るだけ荷をまとめて背負い、ゆっくり川通しで下る。
そして相変わらずの水位を順調に歩き、序盤の活けキープも無事に回収したうえで、入渓地点へと帰還した。
今回は水量の多いI川でなかなか釣れずに苦労させられたが、最後の大淵で報われた形となってそれなりに満足だ。
結局今シーズンは年券の元も取れない釣行回数になってしまったが、内容には不満も無い。
来年も渓流に出向き、いずれは更なるサイズアップを期待したいと思う。