| 2017年5月12日 | 任務のついで |
(俺・ナオキ) |
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今回はある重要な用件をこなす為に焼津沖へ行く事になった。
この悲しい任務とタイミングで魚釣りなど、どこか気乗りしない部分もあったりもしたが、最近まともな釣りをして いないことも事実。
しかもこの機を逃すと翌日から天気が崩れる予報なので、もはや選択の余地は無い・・。
数年ぶりにナオキとの釣行という事で、早朝から彼の船が停泊している港へと向かった。
AM4時頃、待ち合わせ場所の岸壁に着いてみると、ちょうどナオキも来たところだった。
慣れた様子で準備を進めるナオキ。その邪魔にならぬように俺も荷物を運び込む。
そして20分程で支度が整い、日の出前の港から出港。
俺もナオキも船舶免許は持っているが、今日は俺がゲストなので運転からナオキに任せていく。
まだ薄暗くて肌寒い港内から両側に岸壁を見ながら港外を目指すが、この景色を見るのもどのくらいぶりだろうか。
外港エリアを抜けて少しずつ速度を上げていくと、どうやら沖も穏やかな海況のようだ。
間も無く日の出を迎え、最初の釣り場まで移動したところで今日の任務にかかる。
船が停まったらポケットから小さな容器を出し、静かに中の粉末を海面に撒いた。
さよなら、母さん。俺達が海に出る時はいつも見守っていてくれ。
どこかまだ現実味の無い感覚のまま、とりあえずは今日の最大の目的を果たした。
ここからついでの釣りに入る訳だが、港から3km位は離れているだろうか。
とてもカヤックで来ようとは思えない沖まで来ている訳で、水深も200m以上ある。
釣り慣れたナオキとしては、先ずはここで赤い高級魚を俺に釣らせてくれようという魂胆のようだ。
俺は一応普段カヤックで使っている竿を持参してきているが、この釣りに関してはナオキの竿一式を借りて釣る事にした。
ナオキは船を停めたまま俺の分の竿・仕掛けを組み、餌まで付けてくれて、これでは上げ膳据え膳だ。
更にナオキ自身の支度まで整ったところで船を動かして、改めて狙いのポイントに調整する。
そして船がゆっくり動いている間に、言われるままに仕掛けを投下。
100号錘(オモリ)の胴突き仕掛けは斜め下へと消えていき、次いでナオキも仕掛けを降ろし始めた。
要はこうして船を移動しながら時間差で仕掛けを投入しないと、2人の仕掛けがオマツリしてしまうのだ。
錘が着底するまで暫し待ち、ようやくスプールの回転が止まると、リールのメーターは226m。
こんな深場で釣るのは初めてなので、何が釣れても初魚種となるだろう。
言われるままに竿をしゃくりあげては少し巻き、また誘う。
・・が、なかなか明確なアタリが出ないまま、気付くとほんのり仕掛けが重くなっているような気がした。
とりあえず上げてみるか。
数年ぶりに電動リールの世話になり、レバー一つでラインを巻き上げ始めた。
うーん、こりゃ楽だ。
220mを手巻きで巻いたらどれだけの時間と労力を要することか・・素直に竿を借りて正解だったな。
水面まで上がってきた仕掛けを手繰ると、銀白色の小魚がついてきた。
本日初HITは20Cm程のシロムツだった。
このシロムツとされる魚は昔々船釣りで釣った事はあるものの、近年自力で沖に出るようになってからは釣った事が無
い獲物だ。
食べてみたいと思っていたので嬉しい。
次いでナオキもシロムツを釣り上げ、それぞれ一匹ずつキープ。ナオキの釣った魚の方が少々大きいようだ。
ちなみにこのシロムツという名はオオメハタ属の近縁種をまとめて呼ぶ地方名で、他にデンデンという呼び方もあるよう だ。
それにしても美味そうで楽しみだな。
そして次の投入では明確なアタリを感じる事が出来て、今度は期待しながら電動ON。
すると上がってきたのは本命アカムツとユメカサゴの一荷だ。
どちらも少々小型だが、俺的に初魚種といっていいだろう。
ユメカサゴの方はリリース出来そうなので放ち、アカムツを土産に頂く。
ナオキはまたシロムツを釣り上げたようだが、とりあえず俺にアカムツを釣らせることが出来たので次の釣りに移行する 事になった。
暫し移動した先は一色沖の漁礁だ。
今度は水深45m程の海底に、大きなトウフ石(?)で積み上げた20m位のピラミッドが点在している海域らしい。
俺的に初めて来たかな。
やはりここもカヤックで漕いでくるには現実味が無い距離である。
ここでは腰を据えてじっくり釣る為、アンカーを打ってピンポイントで漁礁の真上に合わせる。
尚、そのアンカーの作業までナオキにやってもらって、俺は完全にお客さん状態だ。
相変わらずベタ凪・無風の状況で、アンカーも無事に決まったようだ。
今度は俺も自前の竿を使い、普段カヤックでやっている釣りから試してみる。
まずはジグ&サビキで根に付いた鯵が居ないかを調査だ。
ナオキの方は片テンビンに短いハリスで切り身を付けた餌釣りに専念するようだ。
潮も比較的緩いので使い慣れた40gの100円ジグは程なくして着底し、根掛かりを恐れながらも誘い始める。
すると程なくして竿先に重みが乗り、何かがHIT。
・・しかしこの感じは小魚がすべてのサビキに喰いついてるような手応えだ。
多分サクラダイの一荷だろう・・鯵の引き応えには程遠い。
巻き上げてみると案の定20Cmにも満たないサクラダイが一荷で掛かっていた。
一応リリースしたものの、海面に浮かんだまま流れていった・・。
その後もサクラダイをかわしながら良型の鯵や底物を狙うが、なかなか思い通りにいかない。
隣のナオキは頻繁にアタリが出ていて楽しそうだ。
ならば俺も餌釣りに乗り換えようか。
もう一本の自前の竿に持ち替えて、ナオキと同様の簡単な片テンビン仕掛けを作り、餌に鯖の切り身を使ってみる。
すると程なくしてアタリが出るようになった。
ナオキは徐々にウツボとカサゴをHITさせていくが、カサゴの型には不満のようだ。
カサゴは23Cm程度のウッカリカサゴのようだが、出目金になったり胃袋を吐き出したりと不健全な状況になっているの でキープしていく。
そのうち俺にもカサゴが掛かるようになり、同様に23Cm程からキープに追加するようになった。
ベタ凪・快晴の状況で漁礁の真上を陣取り、ピンポイントで底物を狙う俺達。
餌には鯖の切り身から鰯、ハタハタ、タコ、イカと、多彩に用意してあるので、ナオキは色々と試す事に夢中だ。
俺的に今まで体感した事の無い釣り場で斬新だが、いつもの釣り場と比較して言える事としては、カサゴとウツボの巣のよ うで魚影もなかなか濃いという事。
ただ、サイズに関しては特筆する程のものは無い感じか・・。
ナオキは大き目の餌に固執してサイズアップを図っているが、根が多いだけにバラシも多い。
楽しいけれど、良型を獲れない状況が続く。
しかし8:50頃、ようやく俺が重いアタリを捉えてなんとか根から剥がす事に成功。
心地良い手応えをバラさずに巻き上げてみると、尺越えのカサゴが上がってきた。
容赦なく引っこ抜いて計ってみると35Cm。本日最長寸GETだ。
ようやく俺にまともなサイズを釣らせることが出来てナオキも一安心のようだ。
そしてだいぶ陽も高くなってきたし良型も出た事なので、そろそろ帰還する方向でアンカーを上げる事になった。
漁礁へ強烈に喰い込ませたアンカーを外すのに苦労するのかと思っていると、ロープを船尾のクリートに巻きつけて固定し、 推進力で強引に引っ張るナオキ。
すると難無くアンカーは上がり、無駄なロスを出すことなく事なきを得た。
逞しくなったなあ。
しかしその後、港へ向かう前にもう一度アカムツを釣りに寄り道してくれることになった。
暫し移動した先は朝一番の場所とは少し違うポイントで、水深は260m程。
やはりアカムツの実績がある秘蔵のポイントらしい。
再び朝借りた竿での餌釣りにかかり、上げ膳据え膳の甘い釣りで釣果の追加を目論む。
そして相変わらず穏やかな海面で誘い続けてアカムツ、シロムツの他にドンコまで釣る事が出来た。
特に最後に釣ったアカムツは30Cmあり、刺身に出来るサイズなので楽しみだ。
・・が、ナオキに言わせるとそれでもまだまだ小さいサイズだという。
とはいうものの、俺もナオキも土産には充分な量をキープ出来たので帰還する事に。
昼近くなって帰還し、片付けてやメンテをしている間にも、快晴の港はだいぶ暑くなっていた。
今回は普段縁が無い海域の魚達に触れて良い気分転換になった。
平日という事もあって沖の人気スポットも悠々自適に楽しむ事も出来た。
そして虚無感を強く感じる暇が無いほどに、何かと気遣ってこの機を設けてくれた弟に感謝だ。